アップルは2008年にアジア進出という予定を発表している。米国や欧州では各国1社の携帯電話会社と独占契約を結んでおり、国内最大手のNTTドコモ、2位のKDDI(au)、3位のソフトバンクモバイルが揃って興味を示した。
現状で有力視されているのがドコモだ。「アップルは米国でも最大手のAT&Tからアイフォンを出した。多くの台数を売るためにも、各国のナンバーワンと組むのが基本戦略」(通信業界アナリスト)という好材料もある。ドコモも中村維夫(まさお)社長が昨年末、アップルのスティーブ・ジョブズCEO(最高経営責任者)とトップ会談したことを認めている。
ソフトバンクは、アップルとの交渉の有無を明らかにしていないが、「最もアイフォン導入に熱心」(同)とされる。アップルの携帯参入が噂段階だった06年5月の時点で「両社が提携して携帯を年内に発売」という報道も出たほどだ。
■米の展示会に孫社長が姿
アップルがアイフォンを発表した07年1月の米サンフランシスコでの同社の展示会の会場にも、孫正義社長が姿を見せていた。アイポッドをソフトバンクの端末とセットで販売したり、ジョブズ氏が大株主で取締役を務めるウォルト・ディズニーの日本法人と提携するなど実績を重ねている。
KDDIの小野寺正社長は昨年末の会見で、「アップルと話をしなかったといったらうそになる」と明かしたが、2社と比べるとやや距離感がある。アップルは日本進出の際に、ドコモやソフトバンクの通信方式を採用するとみられ、別の通信方式であるKDDIがアイフォンを獲得する可能性が小さいためだ。
■回線借りて参入も視野に
ドコモとソフトバンクはそれぞれアップルと水面下での交渉を重ねているとみられるが、前出のアナリストは「最大のポイントは“上納金問題”だろう」と推測する。
これは、アイフォンの利用者が毎月携帯電話会社に支払う使用料のうち、一定額をアップルに支払うという、業界では異例の契約だ。アップルは公にしていないが、米投資銀行のアナリストは「アイフォンの利用者1人あたり毎月18ドル(約2000円)が、AT&Tからアップルの懐に入る」と試算している。
ちなみに07年7−9月期の顧客1人当たりの月の収入はドコモが6550円、ソフトバンクは4800円。米国と同条件だと仮定すると、ドコモで約3割、ソフトバンクで約4割を持って行かれる計算だ。
アイフォンの契約期間の2年間の合計は432ドル(約4万7500円)。携帯電話会社が販売代理店に支払う販売奨励金は1台当たり平均3万円前後だが、それと比べても高い。
また、前出の小野寺KDDI社長は「米国で独占販売している通信事業者の顧客の数が具体的に増えたという話は正直聞かない」とも指摘する。
AT&Tの2007年7−9月期の携帯電話事業の業績は、加入者数は4−6月期から200万人増えているが、通信業界関係者は「もともと同社は四半期ごとに100万人から200万人規模で加入者を増やしている。アイフォンだけで業績を上方修正するほどのインパクトはなかったともいえる」と解説する。
それでもアイフォンのブランド力は魅力だ。
■てんびんにかけ強気交渉
「ドコモは若者向けや先進的なイメージを付けたいし、ソフトバンクは顧客増にはずみをつけたい。アップルは両社をてんびんにかけて強気の交渉ができる」(ITジャーナリスト)
交渉の行方は、どうなるのか。通信業界関係者は「条件闘争にソフトバンクはとことん付いていくだろう。ドコモが下りるかどうかだが、ドコモの体力ならアイフォンで儲からなくても、ソフトバンクに取られるよりはマシ、と判断する可能性もある」とみる。アップルがドコモまたはソフトバンクから通信回線を借りて、みずから通信事業者となるMVNO(仮想移動体通信事業者)としての参入も視野に入る。
08年のアップルの展示会でジョブズ氏の基調講演が行われるのが今月15日。この場で新商品や新サービスの発表が行われるのが恒例。
ここで日本進出時期やパートナーが発表されるのか?
2008年02月05日
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